去る6月10日にFCAの2021年度定時社員総会が開催されました。今回の総会では役員の選任がおこなわれて、FCAの新しい体制が発足しました。そこでインタビューの第一弾として石原会長にご登場いただき、FCAのこれまでとこれからを伺いました。

FCA設立の経緯とこれまでの活動

― FCAの設立の経緯とこれまでの活動を石原会長に伺います。最初にFCAはいつ設立されたのですか?

1986年(昭和61年)4月22日に設立いたしました。

― どなたがFCAを作られたのですか?

私たちの先輩にあたる音楽作家の方々が、各音楽団体の会員の方々をFCAの会員にして一つにまとめようということで作られました。

― FCAの活動の目的を教えてください。

著作権を持っている音楽作家の権利の擁護と、社会的地位の向上というものを目指しております。

― FCAの使命を教えてください。

使命というか、みんなで力を合わせて自分たちの権利を守りつつ、どういう行動をしていけばいいかということを考えながら歩むということですね。

― FCAの特徴について教えてください。

音楽作家団体と言いましてもたくさんの団体がありまして、いわゆる作詞、作曲、編曲、そして訳詞、童謡、現代音楽もそうですし、様々な音楽作家の団体があります。そういったジャンルの違う音楽作家の団体がお互いに自分たちの音楽を尊重しあって問題を一つ一つ解決していこう、ということです。

― 商業ベースや純粋芸術の追求に至るまで様々な音楽作家がいらっしゃると思うのですが、そういったジャンルの違う音楽作家たちが一緒になれるのでしょうか?

みなさん、そう思いがちですね。それぞれの音楽をお互いに尊重して、良い音楽を作っていこうというところでは、共通項があるわけです。その中で諸問題を一つ一つ浮かび上がらせて解決していこうということでFCAが存在しています。

― FCAが設立された理由をお聞かせください。

アメリカにソングライターズ・ギルド(Songwriters Guild of America)というものがありまして、それを意識したようで、いわゆる職能作家の団体を作ろうという目的があったようです。

― 職能団体として何をするつもりだったんでしょう?

音楽出版者が組織するMPAという団体があります。このMPAと協調しながらJASRACに参加していく。それと、私たちはMPAとどういう関係でいこうか、ということ。その中には著作権契約の問題も当然入ります。そこがクリアになっていない部分がありましたので、そこをまずクリアにしていこうということを目指しました。

― 音楽出版者と当時の音楽作家の関係というのはどういった感じだったのでしょう?

出版者との著作権契約ということに関して、やはり多少の問題があったんですね。対等ではなかった、という申し上げ方が良いのかどうか分かりませんけれども、例えば契約書の取り交わしが不十分であったりしたこともあったようです。

― FCAの具体的な活動の実績を教えてください。

音楽出版者との契約をしっかりしよう、ということです。音楽出版者と音楽作家は著作権契約を結ぶわけですが、その契約書を標準化しました。そしてルールを明確にするということ。そのルールに則ってきっちり契約書を取り交わす。つまり、そうすることで音楽作家の社会的地位の向上につながるということです。

― その他にも海外の創作者とも連携していると伺いました。

各国に私たちと同じような音楽作家の人たちの集まりがあります。アジア太平洋地域に、日本も参加しているAPMA(アジア・太平洋音楽創作者連盟)という団体がありまして、コロナ以前の2019年11月末にマカオで行われた総会に私も参加してきました。そこにはアジアの各国からいろんな音楽創作者の方々が集まっていて、テーマになったのは【Buy Out】。つまり買取の問題ですね。これは、音楽作家は自分が書いたものは自分で意識して権利を守ろうという運動でありまして、これについては実りのあるミーティングができました。

ご自身のFCAとの関り

― 石原会長ご自身のFCAとの関りについて伺います。FCAの役員になられたのはいつでしたか?

2017年のことです。

― そのあとすぐに会長に就任されたわけですか?

当時の会長であられた志賀大介先生が2018年に逝去されまして、それを引き継ぐ形で私が会長になったわけですが、それまでは小六(禮次郎)理事長が会長も兼任されておりました。つまり小六理事長から引き継いだ形になります。

― FCAに関わることになったきっかけを教えてください。

FCAという存在は、イメージとしてはあったんですね。音楽作家の団体というものがあって、私も加わっていることも分かっていたんですが、何をやっているかという実態がぼんやりしていて把握できていない、というのが実情でした。だから、中に入ってみないと分からないという意識はとてもありました。

― 役員としてFCAの活動に関わる立場になって、実際FCAをどう思われましたか?

こんなに大事な協議会があったのか、と再認識しましたね。私は作詩家協会に所属しているんですが、それは作詩家の集まりであって、あるいは作曲家協会、作編曲家協会の方たちと一つにまとまることでパワーが大きくなるんです。それを本当に実感して、色々やれるなと可能性を感じました。

FCA会長として

― この度、会長に再任されました。おめでとうございます。抱負をお聞かせください。

また会長を任じられたわけですが、まだ大変な時期なんですよね。なかなかコロナも収束しませんので。昨年からそうなんですが、私たちはより一層困難な時期にFCAの活動を行っていかなければならないというふうに思っています。新しい生活様式ということをよく言われますが、確かに音楽環境もコロナで随分変わりました。そうした中で、音楽作家はどういった行動をしていけばいいのかということを、原点に立ち返った形で考えたいなと思うわけですね。このまま済し崩しに流れるのではなくて、コロナを一つのきっかけにして原点に立ち返って自分たち音楽作家の連帯、絆を強くしていこうかなと思っています。

― 音楽作家の権利のこれからのあり方についてお伺いしたいと思います。これからの音楽作家や権利はどうなっていくべきでしょうか?

音楽作家の権利のあり方、どうやっていくべきか、それは私が決める話ではないと思うんですね。FCAの会員の方々と一緒になって、いますべきこと、権利はどうあるべきかというものを一緒になって考えて、一つ一つを明確にして立ち向かっていくという対処の仕方をしたいなと思っております。